制汗剤の仕組みと使われている物質

制汗剤は人間の体から出る汗をコントロールすることで、服の染みなどの原因となる発汗を減らしたり、汗を栄養源として繁殖する細菌が出すニオイを減らすことを目的とした商品です。

制汗剤とは

現在発売されている制汗剤の多くは、主に脇の下の汗を抑えることと、脇の下のニオイの発生原因となる細菌の繁殖を抑えることを目的としています。
制汗剤が体臭の発生を抑える方法としては多くの制汗剤に制汗成分として配合されているクロルヒドロキシアルミニウム(焼ミョウバン)による皮膚の汗腺への収斂作用を使っています。
汗腺への収斂作用というのは人の皮膚にある汗が出てくる穴を小さくしたり塞いだりすることで制汗剤をつけた部分から出てくる汗を減らす方法です。

先ずは汗を減らす

制汗剤には皮膚の収れん作用による発汗を防止するための成分としてよく使われるのはミョウバンです。
このミョウバンには多くの種類があり、制汗剤に利用されるのはカリミョウバンまたはカリウムミョウバンを無水化した焼きミョウバンが使われます。
一般に焼きミョウバンと言われる商品の成分は無水硫酸カリウムアルミニウムで、汗を出す汗腺を引き締めて発汗を抑えることができます。
この汗腺と呼ばれる汗を出す穴にはエクリン腺とアポクリン腺の二種類があります。
この二つの汗腺にはそれぞれ役割りがあり、エクリン腺はほとんど無臭の汗を出して体温の調節をする役割があります。
これに対し、アポクリン腺は汗を出すときにアポクリン腺の細胞の一部が剝れて汗に混ざって分泌物として皮膚の表面に出てきて、細菌に分解されてニオイを出します。
つまり、アポクリン腺の役目は汗を出すことではなく、なんと「ニオイを出す」ことなのです。

制汗効果以外に殺菌効果も必要

制汗剤に含まれる制汗物質はエクリン腺とアポクリン腺に働きかけて汗の発生を抑えることができますが、完全に発汗を止めるわけではありません。
また、アポクリン腺から汗に混ざって出てしまった分泌物が細菌に分解されてニオイを出すのを防ぐことはできません。
このため、制汗剤には制汗作用を持つ物質以外に、汗の中の分泌物を分解してニオイを出す細菌の繁殖を防いだり、細菌自体を殺す殺菌効果のある物質も入っています。
とは言え、人間の皮膚の細胞や皮膚の表面を守っている細菌まで傷付けてしまっては元も子もないので、人間には優しくアポクリン腺から出る分泌物を分解する細菌だけに効果のある物質が使われます。
現在、多くの制汗剤に殺菌効果のある物質としてつかわれているのは「イソプロピルメチルフェノール」です。
アポクリン腺から出る分泌物を分解する細菌はコリネバクテリウム菌とジフテロイド菌ですが、イソプロピルメチルフェノールはこれらの菌に対して殺菌効果があるのです。
イソプロピルメチルフェノール以外に殺菌効果のある物物質としては手指洗い洗剤に含まれる塩化ベンザルコニウムと消毒用に使われるエタノールがあります。
ただしどちらもイソプロピルメチルフェノールより強いので、塩化ベンザルコニウムは制汗剤よりも「わきが重点対策」商品に使われ、エタノールは肌荒れの心配が少ない男性用などに配合されているようです。

それでも汗は他から出る

制汗剤は発汗の多いわきの下に使われることが多いのですが、人間の汗腺は体中にあります。
特にニオイの元になるアポクリン腺についてはわきの下以外にもすそワキガと呼ばれる外陰部や肛門周辺、乳輪、外耳道にも存在するので、脇の汗を止めたら他のアポクリン腺が活発になり耳垢や耳の周りが臭くなったりすそワキガがひどくなったすることもあります。
また、エクリン腺は体中にあり、アポクリン腺も多少は他の場所に存在するので、脇の汗を制汗剤で止めても、胸や背中に汗をかいて臭うこともあります。
特に中年のミドル臭や高齢者の加齢臭の元になる皮脂の多い体質の人は食事や運動を含めた健康管理をしないとトータルなデオドラント対策にはなりません。

9月 27, 2018